東京駅八重洲口前の建設現場での5人が転落しうち2名の方がお亡くなりになる事故がニュースになっているが、まずは犠牲になった方のご冥福をお祈りさせていただく。その上で、高所からの転落という事故について考えてみたい。
この事故のニュースを見て気になった点が一つある。おいらも玉掛の講習を受けたことがあるのだが、玉掛の際に対象の荷物の上に乗るというのは聞いたことがない。というか、誰がどう見ても危険とわかるのではないか?建築現場の常識はわからないが、はたから見るとちょっとあり得ないと思う。これが常態化しているのなら、大問題だと思う。上に登のならば素直に足場で階段を作ればよかったのではないか?工期や予算の関係もあるのかもしれないが、人命には代えられまい。すぐにでも改善するべきと思うのだが。
高所からの転落は危険であることは誰でもわかると思う。では、危険な高さとはどのくらいか?
これに関しては、転落した際にどの部分を強打したかによって違いがあるが、特に頭部は危険で、よく言われるのが
「1メートルは一命取る」
という言葉である。頭部の強打は1メートルの高さでも危険という事だが、実際はもっと低くても頭部の強打は危険だ。固い地面ならば30㎝でも危ない。鈍器で殴打されるようなものだ。もちろん、頭部以外でも危険ではあるが、圧倒的に致命傷が多いのは頭部だ。人間の場合、他の動物に比べても頭部の比重が重いから、頭から落ちる確率が高い。おいらの時もそうだった。そこで今回は、おいらが実際にやらかした事例を紹介する。
当時は食品会社に勤めていた。作業場の天井部分にカビが確認されたので、次亜塩酸ナトリウム水溶液を使って拭き取る作業をしていた。天井は3mぐらいの高さなので、脚立を使っていた。普通に脚立を立てて天板の1個下の段に立って作業をしていたのだが、降りる際に足を踏み外してしまい、固い床に叩きつけられた。頭を思いっきり打ちつけて、患部に激痛と違和感。触ってみると、マンガかと思うようなたんこぶができていた。
周りの人が駆けつけてくれて、心配してくれたが、意識は普通にある。痛かったが、会話も普通にできる状態。だが、上司の判断で、救急搬送された。
病院では脳波やその他いろいろな検査をしたが、幸いなことに大事には至らず、入院も必要なくすぐに帰宅し、その後の後遺症もなく現在に至る。
こうして振り返ってみると、軽い気持ちでの作業だったため、油断が多かった。ヘルメットもしていなかったし、転落の想定も全くしていなかった。大事に至らなかったのは運が良かったのだろう。人間の体は頭部から転落するようにできている。脳が発達している分、頭が大きいからだ。高所作業の際は、必ずヘルメットをかぶり頭部を保護し、命綱をつけて転落を防ぎ、くれぐれも油断なきように皆さんにもお気を付けいただきたい。
「1メートルは一命取る」
この言葉をくれぐれも忘れずに。
両学長も仰ってた。
「適正なリスクを取るのは大事だが、致命傷は避けよう」と。