失敗事例? 番外編 白いあいつがやらかした話


「あの名馬の歴史に残る偉業を阻止するために、あの馬が立ち上がった!」

 

台風が過ぎ去ったあの日、俺は朝早く家を出た。まだ午前5時を回ったころで、まだバスは走っていない時間だったので、俺は20分ほど歩いて最寄り駅に到着。早朝の京成線八千代台駅。普段は結構人がいるが、あの日は日曜の早朝。ほとんど誰もいなかった。そこから電車に乗り、京成船橋駅でJR線に乗り換え、東京駅に到着。

残念ながらのぞみ1号には間に合わなかったが、6時半ぐらいの東京発ののぞみには乗れた。

たびたび新幹線に乗る機会はあったが、関西方面に行くのは子供の時以来だ。久々に心が躍る。

ちなみにこれは豆知識だが、のぞみの自由席に乗る場合、1号車の先頭車両側から乗ると比較的座りやすい。ホームの中央に近い側から席が埋まっていく傾向があるからだ。まあシーズンによっては、それでも座れない場合もあるが。

また、のぞみでも、号数の番号が少ない列車は乗らない方がよい。のぞみ1号、3号、5号のような列車は、定番の列車で、不定期の列車に比べても混みやすいし、指定席でもチケットが取りにくい傾向がある。

 

ともあれ、俺はのぞみの1号車の乗った。あの日は6月の日曜日で、観光シーズンでもなかったので、難なく座れた。台風が過ぎ去った後なので、東京駅近辺からも富士山がよく見えるほど晴れていた。富士山を見るのにはすごくいい日だったと思う。東京駅近辺から小田原の手前、三島から静岡、そして浜松のあたりまで富士山がよく見えた。やはり富士山は新幹線の車窓の醍醐味だ。そして名古屋を過ぎたあたりで、遠くの方に煙を吐く山が見えたのだが、あれがおそらく御岳山だったのだろう。当時は噴火から1年未満で、まだまだ危険な山という認識だった。本当に噴煙だったのかどうかは知らないが、後で地図で確認してもちょうどその場所だ。あれが御岳山だったのだろう。

 

そして朝9時ごろ、新大阪到着。そこから大阪駅まで在来線で移動し、阪急の梅田駅へ。そしてそこから阪急線に乗って、西宮北口を経由して仁川駅へ到着。兵庫県宝塚市。ここが目的地。

 

ここから阪神競馬場までは徒歩10分ほどであるが、専用の地下通路があるので、雨が降っても濡れずに行くことができる。まあ雨は降っていなかったが。

 

関東のJRAの競馬場は東京と中山があるが、東京はどちらかというと西洋風という感じのスタンドなのに対し、中山はどちらかというとアットホームみたいな感じがある。東京は国際レースが多く、欧米からの来賓も多く訪れるので、そういう造りになっているのだろう。そして、この日訪れた阪神競馬場のスタンドは、どちらかというと東京に近い。西洋風の造りになっている。ちなみに京都競馬場のスタンドにも行ったことがあるのだが、こちらはどちらかというと中山の雰囲気に近かった。改修後はどうなっているのかは知らないが。

 

のぞみ1号であれば第1レースに間に合ったかもしれないが、それには乗れなかったので、第2レースからの勝負になった。勝負の結果は相変わらずだったが、せっかくなので観光がてら色々と見て回った。やはり中山よりも東京に近い雰囲気。

 

そんな感じで、いよいよメインレース。阪神11R 第56回 宝塚記念。

当時はそんな風に思ってなかったが、今から思えば伝説のレース。今現在でも語り草になっていて、YouTubeにもそれに関連する動画が多いというほどの伝説を残したレース。競馬ファンの皆さんに、過去で一番印象に残る宝塚記念をアンケートしたら、間違いなく1位になるだろうと思われる、そんなレース。2015年宝塚記念。

 

宝塚記念は過去2年、ゴールドシップという馬が勝っていた。そしてゴールドシップは、この年も出走している。前人未到の3連覇がかかっている。その偉業を達成するさまを見届けに、たくさんの観客が来ていた。まあおいらもその一人だが。とはいえ、おいら自身はその偉業に期待していたわけではなく、ただ単に面白いレースを見たいと思ってここまで来ただけだ。

 

G1レースだけあって、すごい人だかり。そんな中、何とか隙間を探してレースを見るために人ごみの中にもぐりこんだ。そこでコースを見ると、スタート地点のすぐそばだった。

 

そしていよいよファンファーレが鳴り、各馬がゲートに入って待機する。そんな中、外枠の方にいた馬が大きく暴れている。

「あら?」

白い馬体がいきなり立ち上がる。そのタイミングでゲートが開いた。途端にスタンドは阿鼻叫喚の嵐。ゴールドシップが出てこない。そこから2秒くらいたってから、ようやく出てきた。おいらは腹を抱えて笑ったw

「やってくれたwwwやっぱりすごい馬だwww」

レース自体は覚えていない。あのスタートのインパクトがすごすぎてw結果はブービーだったのは覚えている。

巷では「120億円事件」とも呼ばれているらしい。120億円分の馬券が一瞬で紙屑と化したからだそうだ。

 

勝ち馬はラブリーデイという馬。あのスタートのインパクトがすごすぎて勝ち馬を覚えていないという人も多いらしいが、この馬は後に秋の天皇賞も勝っているので、その感想は少し失礼じゃないかとも思った。

おいらは馬券はラブリーデイから勝負していたので、単勝は的中したのだが、3連単は2着と3着の馬が予想外だったというのもあり、収支はマイナスになっている。後から考えたら、2着馬と3着馬は妥当ではあるんだよな。2着馬は先の阪神大賞典で惜しい2着だった馬だし、3着馬は後にジャパンカップを勝っている。ただ当時はそこまで読めなかった。

 

あんなものを間近で見れたというのは、すごく心に残る思い出になった。旅費交通費3万と馬券食費1万を使ったが、それだけの価値はあったと思う。最高に面白いレースだった。帰りは仁川から帰ったが、西宮方面はものすごい混雑だったので、宝塚方面に出た。宝塚駅の売店でお土産を買い、そこからJRで大阪へ。そして新大阪からのぞみに乗って帰宅。楽しい旅だった。今回はあの白いあいつの失敗事例ということだが、おいらとしてはすごく心に残るいい思い出になった。こういったお金の使い方はいいのではないかと思う。最後に、この旅に使った金額を仕訳て終わろうと思う。

(借)旅費交通費30,000 (貸)現金40,000

(借)遊興費等


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